幸せの味

 貧乏人なので最近の料理はもっぱらいかに100円餃子をうまく焼くか、とか米の食う量を増やしおかずを減らしたときどのくらいの味付けがいいのかとか、キムチはいかにしておかずになるのかとか寂しいディテールに凝っていた。
 そんな貧乏人には悲しいかな、ショーップ、キューッキュ、キュッ、キュキュ、キュッ♪のメロディーが楽しそうに頭に響いてくるのだ。くそー、なんて思っていてもショップ99に行った帰りには口ずさんでしまうから、歌の力ってとっても不思議!

 そんな僕もジャスコでお買い物の日だってあるのだ。今日はそのジャスコに餃子にもう一品!なんて昂ぶりつつ足を踏み入れた。あそこは広いので買うものを決めていなければ当然店内をさまようことになる。「餃子に合うもう一品」なんて曖昧なことを言っていればそれは命取り。いつの間にか「明日はカレー曜日!」(古い)なんて余計なことを思いついてカレーの材料を買い込むのだ。
 というわけで俺はカレーのルウの置いてあるところへ行ってみた。そこでカレーのルウをどれにしようか迷っていると目に「スープカリー」の文字が飛び込んできた。スープカレーは北海道で食べるのが一番美味しいのだがそれはちょっと高くつくし、東京にあるお店で食べても1000円はかたい。となると、300円で二食入りのこれは「買いだ」と村上ファンドよりも明晰な俺の頭脳は判断した。最近スープじゃないカレーばっかで、俺はスープのカレーに飢えていたのだ。そこに「ハウスさんのスープカレーは美味しいのかねえ?」なんて疑問を投げかける余地はなかった。鶏のもも肉を一緒に買って一路我が家へ。

 にんじんを煮込み、そこへスープカレーの素とパリパリに焼いた鶏肉とからっと揚げたジャガイモを入れて出来上がり。とっても簡単♪さてお味は?

「んまい」

 すごくうまいのが出来上がりました。俺はうまいスープカレーを食うと汗を流して喜ぶのだが、まさにそんな味だった。この文章を作っている間にも、その味を思い出して汗をかきそうだ。いやあ、ハウスさんいい仕事しますねえ、俺のイメージに近いものが食べることが出来ました。

 出会いは三年前、当時の彼女にスープカレーの存在を教えてもらい、なんじゃそりゃ?なんて思ったのだが、それをはじめて食べたときから虜になった。何種類か知らないがあのスパイスな感じがやばいのだ。さらにさわやかな酸味が加わってなんともいえないスープ感を出すのだ。まあ、見た目がスープなんだけどね。とにかくうまい。スープカレーのためならバイトしてもいいね!日記を書きたくなるほどうまかったので日記を書いております。

 まあ、余談なんだけど、レジで並んでいるときに目の前に仲良し3人組な女の子達がそれぞれペットボトルの紅茶を1本ずつ手にとって並んでいた。そして仲良し3人組な彼女達はバラバラに会計し始めた。こんなところにも個人主義が蔓延しておるのですね。イライラした俺は「おいイモ、カレーに入れて煮込むぞ」と言ってやりたい衝動に駆られながらも買い物カゴの中のジャガイモを見つめていた。

久しぶり。

今日はいろんなことがありました。携帯からなので文章作りづらい。
夏前にできた新しい友人に誘われてすばらしいプロジェクトに参加しました。感じたのは物凄い意志の集合体。そして風は通りに流れるのである。
家に帰ると知り合いのとてつもないギタリストと、とてつもないギターがいた。暴れ馬として有名なギルドの50年代製の名器。しかし、奴は果たしてポニーだった!というのは冗談だが、ロゴやヘッドそしてボディーは華奢な超素直な子で多彩な表情の持ち主。想像してくれ、こんな音出したいと思って弾けばその音が出ることを。あれはまるで魔法。ミラクルギターやった。弾いたら、とろけそうな思いやったよ。
今日は晴天の空に秋の風が舞ったこと久々に実感してうれしくなったから書きました。

瞬間と永遠のハードコア。

エンケン祭りに行ってきた。遠藤賢司さんの映画の公開を記念してのイベントだ。エンケンさんは吠えていた。とても静かに。
一緒に出ていた曽我部恵一バンドや銀杏ボーイズも吠えていた。いろんな方法で。

大声でシャウトしても相手が聞き取れる言葉が少なくてたった一言しか伝わらないことがあっても、その一言が相手の胸に届くのならばそのシャウトは深海魚のようにひっそりと、だが確実に相手の心に存在するようになる。
どんなに無口でもそれで相手に伝わるメッセージがあるなら、その沈黙はどんなによくできた文章よりも完成された響きを持つ。

分かりにくいとは言わせない。考える必要もなく、それは日々に転がっている。

長かった夏休み。

もう九月も終わろうとしているのに俺の暦ではまだ夏休みだ。でも、それも今日まで。
今年の夏はいろんなことがあった。北海道への遠征に始まり、onsensのライブのお手伝い、初のサークル夏合宿、軽井沢、その間全てバイク。そして最後に曽我部恵一バンドのライブを手伝うために車で実家へ。こんなに動いた夏も初めてだ・・・なんて実感はあまりないし、まだ物足りない。
ちゅうのも、曽我部さんをはじめ、バンドメンバーのケニーさん、上野さん、太田さんの圧倒的な勢いを見せ付けられてしまったからだ。
ライブ当日は緊張と焦りで俺は正直くたくただったけれどライブ終焉後、また猛烈な夜が始まったのだ。彼らは一夜だけ、ものすごい勢いを出すわけではないのだ。ほぼ毎日全国行脚のために動いている。そして濃厚な日々が繰り返されているのだ。
太りすぎのロック愛好家みたいな世界に棲む人にはこのこってりしたエネルギーは消化できないだろう。
彼らは音楽でそんな日々から溢れてこぼれた愛を綴っている。そしてこんな精神論は限りなく必要ないものであるのが明白なので文章を作りながらものすごく恥ずかしい気分だ。

彼らとファンとしてはもちろん、関わった人間の一人としてライブ後に交わした握手はすがすがしかった。

そいで俺の夏休みは終わり。日付が変わるのはあっけないもんだ。

コーヒーがMAX

最近あることを決めた。
その計画の為に昨日は某所に行ってきたのだが、俺はその場所がひどく気に入り、また新しい時間の過ごし方に胸を高まらせている。どこかで読んだインディアンの言葉で「空気は一つのところにとどまると淀む。人も同じだ。」というのがあった。
俺は歩き続けようと思う。

君を連れてゆく。

 旅から家に戻り、やっと落ち着いて一人の時間を過ごしている(部屋の中はけっしておだやかな状態とは言えないが・・・)。昨日は家に着いてゆっくりしようと思っていた矢先に友人からスタジオに誘われ、再び夜の街に出かけたから今の時間は遠い昔のようにも思える時間と再会した気分だ。

 一週間ほど前に実家を出てサークルの合宿にニ、三日滞在してそのまま東京に向かう予定だった。しかし、ご存知の通り台風の影響で雨がやむことはなく合宿場所である斑尾を出てぜんぜん進めなかった。そして、軽井沢にいる友人に連絡して家に泊めてもらえることになった。軽井沢なんて場所に行くのは初めてで人生で行くことはないと思っていた場所だ。雨宿りのつもりだったが雨も長引きそこで俺は三泊もしてしまった。その間俺はジョン・レノンのお気に入りだった場所に行ってみたりした。ガイドブックにも必ず載っているそれらの場所はおそらくただの観光地だろうと思っていたが、はたしてそうではなかった。ジョン・レノンが毎朝のように通っていたフランス・ベーカリーのフランスパンは俺の好きなうまいパンの味だった。ただの固いパンなんかではなく、かめばかむほど味がにじみ出てくるパンで俺は30cm以上はあるであろうそれを一本まるまる食べてしまった。
 軽井沢はたしかに金持ちの場所で観光地なのかもしれないけど、オフシーズンの雨の軽井沢ってのは悪くないと思った。フランス・ベーカリーと同じ通りにある服屋さんでジェリー・ガルシアのTシャツを買ったとき、気さくな店員のおっさんは割り引いてくれた。ユルい感じがした。ホントはもっと気取った場所なのかもしれないけどね。

 というわけで、雨が止み晴れ渡った空の下東京に戻ってきました。なんとなく旅してしまったけど、いろんな事が起こった。エピソードの一つ一つの感動は大きいけど思い返せばやはり遠いものに思える。今日、バイト先に顔を出してきて社長にこう言われた。
「お前、何が目的だったの」
今回の旅の目的はなんだったんだろう。考えても出てこない。そりゃ目的地はあったけど。旅先でグッと来たことのほとんどは偶発的で、そしてそれが俺のエンジンになった。やっぱり目的なんてなかった。一つ思うことは俺にとっても目的があってそれを達成したところに面白みのあるエピソードなんてない。

 気がついたらもう九月だ。

この夏のベストヒッツ☆

いまさらになって気付いたことが一つある。
どこにいてもその街のレコードショップが気になり、すぐCDを買ってしまうということだ。しかもそれは、なんの脈絡もなく繰り返してしまう。持っているCDを買ってしまった経験がないのがいやらしい。持って「いた」CDを買うということがたまにあるのが嫌なところだ。とにかく集め方がビックリマンシールよりおそろしい。
というわけで今年の夏に新しく聞いたもので「これは!」というものを少し。
「ダニエル・ラノア関連作品」
ダニエル・ラノアの名前を知ったのは夏前に友人のジョニーさんと話に出てきたから。さらに秋葉氏に彼がプロデュースしたディランの『OH MERCY!』を薦められた。ニューオーリンズで感じた、行ってみないと分からなかった深いところから醸し出されるなんとも言えない感覚をなぜかこのアルバムに感じ取り(あとでいろいろ事情がわかりました)、「ディラーン!ダニー!」と叫びたくなるくらい興奮した。うれしくなって彼の今年の新作『BELLADONNA』とかまたまたディランの『TIME OUT OF MIND』とか買ったり、ネヴィルズの『YELLOW MOON』を聞いたりしてる。プロデューサーに熱狂するのは初めてだ。ダニエル・ラノアのクレジットがあるCDはぜんぶ聞きたい。でも、重要なのはおそらく彼が全てではないところだ。さらにミュージシャンだけが全てでもないと思わせるところだ。まだ聞いてる途中だけどほんと『OH MERCY!』は名盤。新作『BELLADONNA』は初めて自分を委ねることができたチルアウトミュージック。
『MUGEN』 サニーデイサービス
今年の夏のドライブでこのアルバムを聞いたら必ず海に向かっていた。
というわけでちょっとだけだけど以上です。