象さんダンス、ゆ〜らゆら〜♪

今日は井の頭公園の動物園に行って来た。
「ハナ子」ちゃんに会うため。彼女は58歳のおばちゃんで、俺が生まれてから一度も見たことのなかった生のゾウさんなのね。
天気がとても良くて、公園にはたくさんの人がいた。みんなようやくやってきた春らしい陽射しの下、表情がほころんでた。公園を横切り歩道橋を渡ると動物園だ。
え〜と、最後に動物園に行ったのはいつだっけなあ?実家にある動物園以来だから・・・ようわからんけど、おそらく15年ぐらいか?まさかこの年になって一人で動物園に行こうとするとは思いもよらなかった。
入場門でさっさとお金を払って、俺はゆっくり心を落ち着かせて彼女のいる場所に向かった。途中で見た動物さんたちには申し訳ないが、俺は浮き足立っていた。
動物園の奥のほうに行くと・・・
いた!ハナ子!でかい!ゾウさんでかい!(・・・失礼)
子供達がおおはしゃぎで「でっけー」とか「ゾウさんだ!」とか言っていた。ちなみに俺は心の中で「うわあ、でっけ〜」と叫んだ。隣のおじさんが「化けもんだな〜」なんて呟いてたけど、それぐらい大きかった。ゾウさんはあんまり近くに来てくれなかったけど、横の看板に「寒がりのハナ子は北風のあたらないあの場所がお気に入りなんです、ごめんね」なんて書いてあった。そんでしばらく見ていると一つのことに気付いた。ハナ子はずっと揺れているのだ。
ゆ〜らゆ〜ら。
ゆ〜らゆ〜ら。
ゆ〜らゆ〜ら。
揺れているというか、足元を見るとステップを踏んでた。そうハナ子は踊っていた。ゆっくりだけど軽やかに。
いつも踊ってんのかなあ?なんて思っていると、ハナ子は「ふしゅ〜っ」なんて言いながら隣の建物に入っていった。どうやらお昼の時間らしい。中に入れるようになっていたので中に入った。中に入るとさっきよりだいぶ間近で見ることができるようになっていた。歯が一本しかない老齢のハナ子でも結構食うらしい。一日の食事の量はなんと100kg!(でも、あの体格からすると当然っちゃあ、当然か)
ハナ子のお昼ごはんは大きなダンボール一杯分のキャベツ。それをゆっくり食べてた。長い鼻を使った器用な食事方法に感心した。鼻の先でキャベツをつまみ、鼻を丸めて、「ヒョイ」っと口に放り込む。この「ヒョイ」のときがじつに起用だった。途中、急に動きが止まり、「どうした、もういいのか?」って思ってると、「ゲッ」って音がした。そう、「げっぷ」したのだ。これは傑作だった。人間がするげっぷの音をでかくしただけのげっぷ。人間とゾウの意外な共通点。
さらにおもしろかったのが、鼻の掻き方。
なんか鼻を床に摩り付けているので、ああ痒いのかなと思ってると、鼻を前足の間に挟んで、「ゴリゴリ」という音とともに擦り付けているではないか。音がまたすごかった。ゾウの皮膚って堅いって聞いたことがあったけど、ほんとに堅そう。だって「ゴリゴリ」なんだもん。
そいで、ゆっくり時間をかけて食べ終ると、例のダンスが始まった。

ゆ〜らゆ〜ら。
ゆ〜らゆ〜ら。
ゆ〜らゆ〜ら。

そのあと、他の動物もいろいろ見て(ミミズクとか、イーグルとか、ヤクシカとか、きつねとか)結局、お昼過ぎに行って閉演時間近くまで居た。「自然の動物がいいんだ」とかいつの間にか信じてたけど、そんなの言ってるの大人だけだとはしゃいでいる子供やハナ子を見ていて思った。ちなみにハナ子は戦後初めて日本に来たゾウさん。ゾウってどのぐらい生きられるのか分からないけど、ハナ子は相当高齢なんだろうなあ。

うちの親父よりも年上のハナ子!また会いましょう!お元気で!