夜明けから夕暮れ。そしてまた夜明け。

『エピタフ』と『ハピネス』

昨日は日記を更新しようと思ってたんだけど、昨日の夜から今に至るまで一人別世界にいたような気分だったから書けなかった。今日はそのことをちらほら。ちょっと長いかも。

昨日かねてから欲しかった、オーガスタス・パブロの『King Tubbys meets Rockers Uptown』を買った。オーガスタス・パブロキング・タビーの名作だ。一ヶ月ほど前に『レッツ・ロック・アゲイン』を観たとき映画のなかで、ジョー・ストラマーキング・タビーブライアン・ジョーンズの『ジャジューカ』とニナ・シモンのCDはツアーのとき必ず持っていくって言ってた。それからしばらくしてOKIさんのライブを観に行ったときに流れてたのもオーガスタス・パブロだった。そんときはいい感じのスカっていう印象で、そん時から「DUBってじっくり聴いたらどうなんだろう?」と、思ってて買ってみたのだ。ほいで聴いてみると・・・

「ダッラーーーン!」

一気に三回転ほど聴いたんだけど、一度目は「ほうほう」といった感じでこっちから能動的に聞く感じね。新しいCD買ったときってみんなそうやって聴くでしょ?ほいで二回目以降はベッドの上で素樹文生氏の『上海の西、デリーの東』を読みながら(この本については読み終えてないからまた今度)。するとどうだ、もちろん本の内容もさることながら音が俺の体内時計というか時間感覚を奪い去って(距離的にではなく、どこかという意味で)どんどん遠いところへ連れていってくれるではないか。そしてそこはとても心地よかった。言うなれば精神的にも時間的にも「縛りのない」永遠性とでも言いましょうか、いや、音楽を聴いたり本を読んだりしている限られた「今」が果てしなく続くような「永遠の縛り」状態の心地よさ。ほんと「いつ終わるんだ!?」が苦痛じゃない。三回目になると「いつ終わる」とかそんなことどうでもよくて、ただ耳とその奥にあるもんを全部あっちに預けてた。そいで本も読んでたしいつの間にか音は終わってて、急にフィッシュマンズの『空中キャンプ』が聴きたくなって流しながら本を読んだ。それが終わって時計を見ると朝の5時。こりゃまずいと思って、もう一回オーガスタス・パブロをかける。今度は寝るために。そいで気がついたら心地よく昼の11時だった。

そんで、学校に行って4限を受けてから、5限の授業に「出席」するために13階へ。そいで煙草を吸って一服。外を見ると、あれこんなにも?って思うほどのきれいな夕陽。その下には新宿に向かってビルがひしめき合っている。ちょうど持っていたHEAT WAVEのベストの2枚目の「トーキョー・シティーヒエラルキー」が聴きたくなって聴く。こりゃまた素晴らしい。

トーキョーシティー ヒエラルキー 
この街はムンクの手の中にある
誰かが叫び 何処かで渦巻き とてもいとおしく 何故か美しい
そして醜い あまりに醜い 醜いけれど何故か美しい
今日もどこかで 沢山の天使達は夜のトーキョーにそっと囁きかけている

ここで俺の勝手な盛り上がりは最高潮に達する。そいで一つの閃きが・・・

「ランダム再生・・・」

この美しい夕陽を見ながら音楽はDJ‘CD PLAYER’君に任せて時を過ごしてみるのはどうだ!と思ったわけ。時計を見ると全部再生して授業時間内に間に合うか微妙な時間。

ええい、「出席」は時間ギリギリで大丈夫だ!そいで、俺はCDのランダムスイッチを入れる。以下は今日のセットリスト。

1.トーキョー・シティーヒエラルキー
2.ボヘミアン・ブルー
3.エピタフ
4.ハピネス
5.愚か者の舟
6.陽はまた昇る
7.33
8.スウィム
9.ノーウェアマン
10.天国へと続くハイウェイ
11.ガーディアンエンジェル
12.竹田の子守唄
13.七つの海
14.素晴らしい孤独
15.雨の後、路は輝く

‘HEY DJ!’

君のプレイは絶妙だったよ!
ボヘミアン・ブルー』のあとに『エピタフ』。俺だってそうするさ。『エピタフ』と『ハピネス』の間で夕陽が沈む演出も最高だったね。陽が沈んだ辺りの雲のはっきりした輪郭が次第にぼやけてゆく。まるで、何かを表してるみたいだったな。このときは一匹の鳥が飛んでいてすごくうらやましかったよ。俺も飛びたい。空で遊びたい!それから日が沈んで暗くなってきたあたりで『陽はまた昇る』あれはやり過ぎだったんじゃないかぁ?でも俺は好きだな、そういうの。分かりやすいよ、君ってやつは。街の光と窓の明かりが急に目立ち始めてきて働き盛りの「33」達がビルの窓に映る。星がぽつぽつ現れてきてそこには俺の「ガーディアンエンジェル」もいるのかな?『素晴らしい孤独』が流れる頃、俺の向かいには・・・が現れたよ。びっくりしたね。でも、俺は占いにあるような落とし穴には引っかからないよ。締めは『雨の後、路は輝く』。もう言うことないよ。君は素晴らしいDJだ。またいつか会おう。

・・・と、まあ分かる人は少ないかもしれないけど、たまにはいいかもね、「ランダム再生」って。ちょっとしたきっかけで妄想と想像力のエンジンが結構まわる。ハイオク満タンの妄想族になってしまったおかげで授業終了1分前で慌てて教室を見に行ったらもう終わってたけど「出席」はなかったみたい。ふう、よかった。俺って周りから見たらキモい人だったんだろうな。ずっと窓際に座って外眺めてんの。でも、今日ぐらいいいじゃないか。いい気分だったからね。

そいで、地上に降りてまた俺の日常は始まった。ブライアン・ジョーンズの『ジャジューカ』にあわせて夜は更けてゆく。