雨が降る。

夜中に目が冴える俺は、開けた窓の外から聞こえてくる雨の音とCDプレイヤーから聞こえてくるサウンドトラックを聴きながら本を読む。
夜中の2時ごろに何もかも洗い流すような音とカラスの鳴き声が聞こえてきた。
そして今うっすら空が青く滲む4時。またカラスの鳴き声だ。
この街じゃカラスだって何時に寝るのか分からない。

ところで冬の寒さはどこに置いてきたのか知らないけど、また夏がやってくる。
雨は降るのか、流れるのか。どっちだろう。
とにかく、梅雨も無用の長物ではない。

闇があるからこそ光がある。

ある風の強い日に凧の糸は切れて遠くに飛んでいったという短い物語。
バラの花を失い、そのあとでバラの花の意味を知った若者の物語。
ペグの巻きすぎで切れてしまった1弦と新しい弦を張り替えた若者の物語。
飛行機が嫌いなスーパースター。

朝と夜、太陽と月、男と女、俺と君、晴れと雨、勝者と敗者、過去と未来、好きと嫌い、愛と憎しみ、夢と現実、憂鬱と躁、静寂と騒音、正気と狂気。
全ては対称ではなく均衡のシンメトリー。

何もかもが通り過ぎまた新しい朝がやってくる。