『家に帰る』

今日は昼に家を出て、よくいくところや、たまーに行くところ、再びよく行くようになったところをバイクでまわった。夜になって『フェスティバル・エクスプレス』を観に行った。
今日は1日の割引デーなので、早めに行ってチケットを買いに行った。整理番号は38番だった。この番号について思いをめぐらせたり、寒い日で金もないのでゲーセンでただタバコを吸って時間をつぶして時間になったので映画館に入った。
映画の中身については、見るのが一番なので・・・。ただ少し自分の感じたことを文章にしておこうと思う。

素晴らしい映画を楽しんでるときにその瞬間はやってきた。ジャニス・ジョプリンが歌うシーンだ。彼女はとてつもなくキュートな動きでステージ上に現れ、歌い、そして叫んでいた。彼女は何度も「泣きなよ!」と客席の俺に向かって叫んでいた。彼女の繰り返される「泣きなよ!」は次第にシートに座っていた俺の涙腺を緩め、そして、涙はとめどなく溢れた。そう、溢れた。何の嗚咽もなく、ただ涙だけが流れていた。
涙が頬を伝う感触を俺はとても長い間忘れていた。俺は長いこと涙を流していなかった。今考えるとショックだけど、涙の「流し方」について考えたこともあった。でも、そんな方法はないのかもしれないと思った瞬間、俺の頬は濡れていた。
ジャニス・ジョプリンはもう亡くなったけど、彼女がカナダで叫んだ「歌」は、35年の月日を経て、海を越え、スクリーン越しにいる俺の元に届いた。そして、全てにありがとうを言いたい気持ちになった。
映画の最後にもう一度「ある」シーンで俺は、震えながら泣いていた。

映画を見終わり、なぜか「家に帰りたい」という衝動に駆られた。でも、その「家」は実家でもなく、今住んでいる家でもない、ただ「家に帰りたい」という思いだけが俺の心にあった。